今年のゴールデンウィークは、和歌山へ出かける。もちろん食いしん坊の私の狙いは、 和歌山ラーメンである。 和歌山ラーメンは概して豚骨醤油のラーメンで、麺は細麺の店が多い。 新横浜ラーメン博物館に「井出商店」が出展したことで全国的に知られるようになった。
私も新横浜ラーメン博物館に出展していた井出商店のラーメンが好きで、 平成13年(2001年)に和歌山へ食べに出かけたこともあったのだが、 残念ながらお正月はほとんどのお店が休みで、 満足にラーメンを食べることができなかった。 今回はおよそ10年ぶりのリベンジである。
元車庫前丸宮 紀ノ川大橋湊店探検記(4/30 20:30)
まず訪れたお店は「元車庫前丸宮 紀ノ川大橋湊店」である。 ここは少し郊外にあるとても綺麗なお店だ。 「丸宮」は正確には「○」印の中に「宮」という文字を書く。 和歌山ラーメンにはこのような「○」の中に漢字1文字の店が多い。 「元車庫前」というのは、昭和46年まで和歌山市には路面電車が運行しており、 その車庫周辺に並んでいた屋台のお店の一つであったことを意味する。 丸宮の本店は現在は和歌山市内南部にあり、ここは支店である。 和歌山ではラーメンのことをメニュー上に「中華そば」と表記するのが一般的で、 略して「中華」と呼ぶことが多いそうである。 もちろん注文は「中華そば(600円)」である。
そのラーメン、麺は縮れておらず、ストレートで細くて、加水率は少し高めだろうか。 スープは非常に濃い醤油味の豚骨スープ。 スープだけなら京都の新福菜館のスープを、少しさっぱりにしたような味だ。 麺が非常に細くてスープが非常に濃い醤油味なので、 なんとなくラーメンというよりも素麺というような雰囲気さえある。 もちろん素麺としは超特濃である。 チャーシューも少し濃い味。 かなり独特のラーメンであるが、最初にしてなかなか美味しい。
和歌山ラーメンのスープは大別して(1)醤油ベースの豚骨醤油味のお店と、 (2)豚骨ベースの豚骨醤油味のお店に分けられるそうである。 元車庫前のお店は前者のお店が多く、 そのため前者のスープのお店のことを「車庫前系」とも呼ぶこともあるそうである。 その場合、後者のスープのお店は「井出系」と呼ぶそうである。 初めて醤油ベースの豚骨醤油味のラーメンを食べて、 他のお店にも期待が膨らむ我々である。
龍王亭探検記(5/1 14:30)
翌日の昼はまずJR和歌山駅前の龍王亭に出かける。 本当は井出商店へ出かけてみようとしたのだが、 あまりにも行列が長いので一時敗退した次第。 注文は例によって中華そば(600円)である。
ここのラーメンは和歌山ラーメンにしては珍しく中太で、 具も珍しくもやしが加えられている。 スープは(2)豚骨ベースの豚骨醤油味で、 醤油の香りも強く、全体的に濃厚だ。 その分少し麺の冠水臭さを感じる。 チャーシューは脂少な目の締まったものである。 総じてやや濃厚ながら、昔ながらの中華そばであると感じる。
ちなみにこのお店、隣にもラーメン屋さん風のお店がある。この時、隣はお休みのようであったが、後で通り過ぎてみるとシャッターが半分開いていて開店準備中に変わっており、 どうやらここが10年前に食べた「時三」であったことを知る。
井出商店探検記(5/1 15:00)
龍王亭でラーメンを食べた後、 再び井出商店へ行ってみると今度はさっきまであった行列がなくなっている。 そこで、井出商店に入ってみることにする。 注文はもちろん「中華そば(600円)」である。 和歌山のラーメンは一般的なラーメンと比べて量が少なめのようなので、 ハシゴしても大丈夫である。 店は少し古めのお店でいかにもラーメン屋さん風。
このお店はテーブルに「早寿司」とゆで卵が置いてある。 「早寿司」というのは和歌山のラーメン屋さんにしばしば見られる酢の強い鯖寿司で、 和歌山ではこの早寿司を食べながらラーメンが出てくるのを待つのもスタイルの一つだそうである。そのためもあってラーメンは量が少なめになっているようだ。 しかし、何しろ我々は龍王亭でラーメンを食べたばかりなので、到底早寿司までは無理。 ラーメンだけにする。
そのラーメンは細麺で、スープは(2)豚骨ベースの豚骨醤油味である。 新横浜ラーメン博物館に出展していた店と基本的な味は一緒なのだが、 本店の方が少しさっぱりしていて、その加減が絶妙に美味しい。 新横浜ラーメン博物館では少しスープが煮詰まり気味であったのかも知れない。
早寿司と卵は自己申告制で、最後に料金を支払う時に「早寿司と卵は食べましたか?」と聞かれる。こうして客を信頼しているあたりも和歌山の特長だろう。 美味しいラーメンを食べて、満足して店を出る我々である。
丸三探検記(5/2 20:00)
翌日の夕食は、丸三へ出かける。このお店は、市の中心部からは南に遠く離れた住宅地にある。駐車場は広いので問題なし。 店の看板には「丸三」という文字もあるが、例によって「○」の中に「三」を書いたマークも記載されている。店はとても綺麗だ。 店内に入るとどこでも好きな席へと言われ、適当にテーブル席に着く。
そのラーメンは、麺は細麺で、冠水はあるものの低加水のようで、麺はやや柔らかめ。 スープはかなり濃厚で、(2)豚骨ベースの豚骨醤油味であるようだ。 濃厚系なのでそのしつこさを抑えるためにコショウが最初から加えられているようで、ピリ辛でなかなか美味しい。
アロチ本家丸高探検記(5/2 21:30)
丸三で中華そばを食べた後は、 ホテルの駐車場に車を停めて、 アロチ本家丸高へ出かける。 このお店はなんでも(1)醤油ベースの豚骨醤油味の元祖とも呼ばれるお店だそうである。 和歌山市内の中心部、JR和歌山駅から徒歩10分ぐらいのところにある。 店はちょっと古いラーメン屋さん風。 和歌山のラーメンは量が少なめなのでハシゴもできて楽しい。
店内のテーブル席に着いて、「中華そば(600円)」を注文する。 テーブルには早寿司のみ置いてある。 ここも麺は細めで、加水率は低めのようである。スープは色が薄いもののかなり強い醤油の風味がある。なんとなく素麺風である。 今時はやりのコテコテのラーメンとは違い、 そのさっぱりとした味がとても美味しい。 やはりこのお店のラーメンは、飲みの後のラーメンにちょうど良いラーメンのように思う。 それは屋台を発祥としているからであろうか。
山為食堂探検記(5/3 14:00)
和歌山の最後は和歌山城近くにある山為食堂(やまためしょくどう)へ出かける。 ちょうど店の前に2台しかない駐車場に空きができたところで、ラッキーにもすぐに駐車。 なお、駐車場が一杯の場合は、すぐ西の有料駐車場に車を停めれば、店で駐車券をくれるらしい。
店内に入り、テーブル席に座ってメニューを見ると、 ラーメンよりもうどん系のメニューが沢山並んでいる。 「食堂」なだけに元々ラーメン専門店ではないのだろう。 でもめげずに「中華そば」を注文する。 他の客も結局中華そばを注文している客が多いようだ。 ここまで和歌山のラーメンは全て600円だったが、 このお店のみ800円である。
ここのラーメンは(2)豚骨ベースの豚骨醤油味のスープのようで、スープはかなりコクがある。麺はかなり太くてコシがあり、冠水も入っているようで少し冠水臭さはあるが、コクのあるスープがうまく打ち消している。 その太い麺は、いかにもうどんをメニューに並べた食堂らしい。 定食屋さんのラーメンだと感じる。
まとめ
今回は6店を訪問。さっぱり→こってりの順に並べると、丸高→丸宮→井出商店→竜王亭→山為食堂→丸三の順だろうか。この中で麺重視の私はやはり井出商店が好み。姫子氏は丸高が一番好みであった。もちろん味の好みは十人十色だし、人それぞれ、店それぞれである。和歌山には独特なラーメン屋さんが沢山あって楽しい街だ。
ただこの街、県庁所在地だし、江戸時代には御三家の一つ紀州家の城がある城下町として栄えた街なのだが、それにしてはなんとなく街の中心部は人通りが少ないようにも感じる。 車社会なのは仕方ないとしても、路面電車を失ったことで人の流れは相当変わったのだろう。 最近フランスでは路面電車(トラム)が見直されている。特にニースのトラムは、とても揺れが少ないスムーズな乗り物であった。またドイツでは特に路面電車が発達しているらしい。日本の技術なら他の国にも負けない揺れの少ない電車を作ることも可能だろう。この街は路面電車が走っていた昔に回帰するのも一案なのではないかと思う。

